二級建築士 過去問
令和8年(2026年)
問69 (学科3(建築構造) 問19)

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問題

二級建築士試験 令和8年(2026年) 問69(学科3(建築構造) 問19) (訂正依頼・報告はこちら)

建築物の耐震設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 建築物の固有周期と地震の揺れの周期が一致すると、建築物の揺れが増幅されて徐々に大きくなる共振現象が起き、建築物が激しく揺れ、被害が発生する場合がある。
  • 建築物には振動エネルギーを吸収することで揺れを減少させる性質があり、この減少の度合いを表す指標として、減衰定数を用いる。
  • 一般に、壁の多い鉄筋コンクリート造やブレースの多い鉄骨造の建築物は強度を大きくして地震力に抵抗する「強度指向型の構造」であり、ラーメン構造の建築物は弾性限を超えて大きな変形を生じることのできる「靱(じん)性指向型の構造」である。
  • 鉄筋コンクリート造のスラブなどにより床の一体性の確保が図られた剛床仮定のもとでは、建築物の各層の地震力は、一般に、柱や耐震壁などにそれらの水平剛性が比例して分配される。
  • 鉄骨造の建築物において、保有耐力接合の検討は、柱及び梁部材の局部座屈を防止するために行う。

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この過去問の解説 (1件)

01

最も不適当なものは「鉄骨造の建築物において、保有耐力接合の検討は、柱及び梁部材の局部座屈を防止するために行う。」です。

保有耐力接合とは、地震時に柱や梁などの部材が十分な耐力を発揮する前に、接合部が先に壊れてしまわないようにするための考え方です。

そのため、主な目的は接合部の早期破壊を防ぎ、部材が持つ耐力を十分に発揮させることであり、柱や梁の局部座屈を防止するための検討ではありません。

選択肢1. 建築物の固有周期と地震の揺れの周期が一致すると、建築物の揺れが増幅されて徐々に大きくなる共振現象が起き、建築物が激しく揺れ、被害が発生する場合がある。

適当な記述です。

建築物には、それぞれ揺れやすい固有の周期があります。これを固有周期といいます。

地震による揺れの周期が建築物の固有周期に近づくと、揺れが繰り返し加えられることで振幅が大きくなることがあります。

この現象を共振といい、建築物の揺れが大きくなって被害につながる場合があります。

選択肢2. 建築物には振動エネルギーを吸収することで揺れを減少させる性質があり、この減少の度合いを表す指標として、減衰定数を用いる。

適当な記述です。

建築物はいったん揺れ始めても、その揺れがいつまでも同じ大きさで続くわけではありません。

部材や接合部などで振動エネルギーが失われることで、揺れは少しずつ小さくなります。

このような揺れの減りやすさを表す値が減衰定数です。

減衰が大きい建築物ほど、一般に振動がおさまりやすくなります。

選択肢3. 一般に、壁の多い鉄筋コンクリート造やブレースの多い鉄骨造の建築物は強度を大きくして地震力に抵抗する「強度指向型の構造」であり、ラーメン構造の建築物は弾性限を超えて大きな変形を生じることのできる「靱(じん)性指向型の構造」である。

適当な記述です。

耐震設計には、大きく分けて「強さによって地震力に抵抗する考え方」と「変形する能力によって地震エネルギーを吸収する考え方」があります。

壁やブレースを多く配置した構造は、建物を硬く強くして地震力に抵抗するため、一般に強度指向型と考えられます。

一方、ラーメン構造では、柱と梁の接合部をしっかりつなぎ、部材がある程度大きく変形しながら地震エネルギーを吸収できるようにします。このような構造を靱性指向型といいます。

選択肢4. 鉄筋コンクリート造のスラブなどにより床の一体性の確保が図られた剛床仮定のもとでは、建築物の各層の地震力は、一般に、柱や耐震壁などにそれらの水平剛性が比例して分配される。

適当な記述です。

剛床仮定とは、床が水平方向にほとんど変形せず、一体となって動くと考えることです。

この場合、同じ階にある柱や耐震壁は、基本的に同じだけ水平変位すると考えます。

そのため、水平剛性の大きい柱や耐震壁ほど多くの地震力を負担し、水平剛性の小さい部材ほど負担する地震力は小さくなります。

一般に、各部材への地震力は水平剛性に比例して分配されます。

選択肢5. 鉄骨造の建築物において、保有耐力接合の検討は、柱及び梁部材の局部座屈を防止するために行う。

不適当な記述です。

保有耐力接合では、柱や梁などが十分な耐力を発揮する前に、ボルトや溶接などの接合部が壊れないようにします。

つまり、接合部の耐力を部材が発揮する必要な耐力以上に確保することが主な目的です。

一方、局部座屈とは、柱や梁を構成する鋼板の一部分が圧縮力によって局所的に変形する現象です。

局部座屈を防ぐためには、板の幅と厚さの関係である幅厚比などを適切に設定します。

したがって、保有耐力接合の検討を「柱及び梁部材の局部座屈を防止するため」としている点が誤りです。

まとめ

この問題では、耐震設計で使われる基本的な考え方を区別することがポイントです。

建築物の固有周期と地震動の周期が近づくと、共振によって揺れが大きくなることがあります。

揺れが時間とともに小さくなる性質は減衰といい、その程度を減衰定数で表します。

また、耐震構造には、壁やブレースなどによって強度を高める強度指向型と、大きな変形能力を持たせる靱性指向型があります。

剛床仮定では、一般に柱や耐震壁がそれぞれの水平剛性に応じて地震力を負担します。

一方、保有耐力接合は、接合部が部材より先に壊れないようにするための考え方です。局部座屈を防止することが目的ではありません。

したがって、「保有耐力接合の検討は、柱及び梁部材の局部座屈を防止するために行う。」という記述が最も不適当です。

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