二級建築士 過去問
令和8年(2026年)
問67 (学科3(建築構造) 問17)

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問題

二級建築士試験 令和8年(2026年) 問67(学科3(建築構造) 問17) (訂正依頼・報告はこちら)

鉄骨構造の接合に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 重ね継手は、2列以上の隅肉溶接を原則とし、薄いほうの板厚の5倍以上、かつ、30mm以上重ね合わせなければならない。
  • 一つの継手に溶接接合と高力ボルト摩擦接合とを併用する場合において、溶接接合が高力ボルト摩擦接合より先に施工されるときは、溶接接合と高力ボルト摩擦接合の両方の耐力を加算することができる。
  • 高力ボルトの接合において、ボルト孔の中心間の距離は、ねじの呼び径の2.5倍以上とする。
  • 軒の高さが9mを超える、又は張り間が13mを超える建築物の構造耐力上主要な部分である鋼材の接合には、原則として、普通ボルトを使用してはならない。
  • 溶接継目ののど断面に対する短期許容せん断応力度は、長期許容せん断応力度の1.5倍とする。

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この過去問の解説 (1件)

01

最も不適当なものは「一つの継手に溶接接合と高力ボルト摩擦接合とを併用する場合において、溶接接合が高力ボルト摩擦接合より先に施工されるときは、溶接接合と高力ボルト摩擦接合の両方の耐力を加算することができる。」です。

溶接接合と高力ボルト摩擦接合を併用して両方の耐力を加算する場合は、一般に、高力ボルトを先に締め付け、その後に溶接を行います。

溶接を先に行うと、溶接による熱や変形の影響で接合面が十分に密着せず、高力ボルト摩擦接合の性能を十分に発揮できないおそれがあるためです。高力ボルト協会の技術資料でも、建築構造物では高力ボルトを先に締め付ける場合について耐力の累加を認める考え方が示されています。

選択肢1. 重ね継手は、2列以上の隅肉溶接を原則とし、薄いほうの板厚の5倍以上、かつ、30mm以上重ね合わせなければならない。

適当な記述です。

重ね継手では、2枚の鋼材を重ね、その端部などを隅肉溶接して力を伝えます。

十分な力を伝えられるように、原則として2列以上の隅肉溶接とし、重ねる長さは、

薄いほうの板厚の5倍以上

かつ、

30mm以上

とします。

たとえば、薄いほうの板厚が8mmなら、

8×5=40mm

となるため、重ねる長さは40mm以上必要です。

選択肢2. 一つの継手に溶接接合と高力ボルト摩擦接合とを併用する場合において、溶接接合が高力ボルト摩擦接合より先に施工されるときは、溶接接合と高力ボルト摩擦接合の両方の耐力を加算することができる。

不適当な記述です。

施工する順序が逆です。

両方の耐力を加算する場合は、一般に、

高力ボルトを先に締め付ける → その後に溶接する

という順序とします。

先に高力ボルトを締め付けることで、接合面をしっかり密着させ、高力ボルト摩擦接合の性能を確保します。

反対に、溶接を先にすると、溶接熱による変形などによって接合面が十分に密着しない場合があるため、一般には同じように両方の耐力を加算することはできません。

選択肢3. 高力ボルトの接合において、ボルト孔の中心間の距離は、ねじの呼び径の2.5倍以上とする。

適当な記述です。

高力ボルトを近すぎる間隔で配置すると、ボルト孔の間に十分な鋼材が残らず、接合部が壊れやすくなります。

そのため、ボルト孔の中心どうしの距離は、原則としてボルトのねじの呼び径の2.5倍以上確保します。

たとえば、呼び径20mmのボルトなら、

20×2.5=50mm

となるため、中心間距離を50mm以上とします。

選択肢4. 軒の高さが9mを超える、又は張り間が13mを超える建築物の構造耐力上主要な部分である鋼材の接合には、原則として、普通ボルトを使用してはならない。

適当な記述です。

普通ボルトによる接合は、高力ボルト接合などに比べて緩みやすく、接合部の性能にも違いがあります。

建築基準法施行令では、普通ボルトを使用できる建築物について、原則として軒の高さ9m以下、かつ、張り間13m以下などの条件を定めています。

したがって、軒の高さが9mを超える場合や、張り間が13mを超える場合には、構造耐力上主要な部分の接合に普通ボルトを使用することは原則としてできません。

選択肢5. 溶接継目ののど断面に対する短期許容せん断応力度は、長期許容せん断応力度の1.5倍とする。

適当な記述です。

溶接部については、短期間だけ作用する地震力や風圧力などに対して、長期荷重の場合より大きな許容応力度を使用できます。

溶接継目ののど断面については、短期許容せん断応力度を長期許容せん断応力度の1.5倍とします。

まとめ

この問題で特に重要なのは、溶接接合と高力ボルト摩擦接合を併用するときの施工順序です。

両方の耐力を加算する場合は、一般に、

高力ボルトを先に締め付ける → その後に溶接する

という順序です。

溶接を先にすると、熱によって鋼材が変形するなどして、高力ボルトの接合面に十分な密着や接触圧が得られないことがあります。

また、次の点も押さえておきましょう。

重ね継手の重ね長さは、薄いほうの板厚の5倍以上、かつ30mm以上です。

高力ボルトのボルト孔の中心間距離は、原則としてねじの呼び径の2.5倍以上です。

普通ボルトには、建築物の規模による使用制限があります。

溶接継目の短期許容せん断応力度は、長期の1.5倍です。

したがって、「溶接を先に施工した場合に、溶接接合と高力ボルト摩擦接合の両方の耐力を加算できる」とする記述が最も不適当です。

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