二級建築士 過去問
令和元年(2019年)
問64 (学科3(建築構造) 問14)

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問題

二級建築士試験 令和元年(2019年) 問64(学科3(建築構造) 問14) (訂正依頼・報告はこちら)

鉄筋コンクリート構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 柱は、一般に、負担している軸方向圧縮力が大きくなると、靱(じん)性が小さくなる。
  • 梁とスラブのコンクリートを一体に打ち込む場合、両側にスラブが付く梁の剛性については、一般に、スラブの有効幅を考慮したT形梁として計算する。
  • 梁端部の主筋に生じる引張力に対し、梁から梁主筋が引き抜けないことの確認を定着の検定、柱から梁主筋が引き抜けないことの確認を付着の検定という。
  • 梁のせいは、建築物に変形又は振動による使用上の支障が起こらないことを計算によって確かめた場合を除き、梁の有効長さの 1/10 を超える値とする。
  • 部材の曲げモーメントに対する断面算定においては、一般に、コンクリートの引張応力度を無視する。

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この過去問の解説 (3件)

01

1. 記述は正しいです
 柱において軸圧縮が大きくなることは、すりつぶす力が強くなる方向に働くので、脆性が大きくなり靭性が小さくなります。

2. 記述は正しいです
 梁とスラブを一体施工した場合、梁の有効部分は一部スラブを含めてT形梁として設計します。
梁の片側にスラブがある場合の一体施工でも同様の扱いをして設計します。

3. 記述は誤りです
 梁主筋は、柱に対して折り曲げて定着しています。
  主筋が梁から抜け出さないか確認……付着の検定
  主筋が柱から抜け出さないか確認……定着の検定
となります。

4. 記述は正しいです
 梁せいは、普通コンクリートの場合一般には梁の有効長さの1/10以上で計画します。
特殊コンクリートやプレストレストコンクリートは、梁せいが小さくなります。

5. 記述は正しいです
 コンクリートの引張は圧縮1/10のため、その抗力を発揮できません。
コンクリートの曲げモーメントは、亀裂が生じた部分の引張鉄筋のみで抵抗していることになります。

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02

1. 正しい記述です。
負担している軸方向圧縮力が大きくなると、靱性が小さくなります。

2. 正しい記述です。
両側にスラブが付く梁の剛性は、スラブの有効幅を考慮したT形梁として計算します。

3. 不適当な記述です。
選択肢の記述は、用語の説明が逆になっています。
梁から梁主筋が引き抜けないことの確認を「付着の検定」、柱から梁主筋が引き抜けないことの確認を「定着の検定」といいます。

4. 正しい記述です。
梁のせいは、梁の有効長さの 1/10 を超える値とします。

5. 正しい記述です。
曲げモーメントに対する断面算定では、コンクリートの引張応力度は考慮しません。

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03

最も不適当なのは、「梁端部の主筋に生じる引張力に対し、梁から梁主筋が引き抜けないことの確認を定着の検定、柱から梁主筋が引き抜けないことの確認を付着の検定という。」という記述です。

この記述では、「付着」と「定着」が逆になっています。

梁の中で、梁主筋がコンクリートとの間ですべって引き抜けないことを確かめるのが付着の検定です。

一方、梁主筋の端部が柱などの接合部から引き抜けないことを確かめるのが定着の検定です。日本建築学会のRC規準についての解説でも、「定着」は仕口への鉄筋の定着を指し、「付着」は鉄筋と周囲のコンクリートとの間で力を伝える働きとして扱われています。

選択肢1. 柱は、一般に、負担している軸方向圧縮力が大きくなると、靱(じん)性が小さくなる。

この記述は適切です。

柱に大きな圧縮力がかかっていると、地震などで柱が曲げ変形したときに、コンクリートが押しつぶされやすくなります。

そのため、一般に軸方向圧縮力が大きいほど、柱が粘り強く変形できる能力である靱性は小さくなります

選択肢2. 梁とスラブのコンクリートを一体に打ち込む場合、両側にスラブが付く梁の剛性については、一般に、スラブの有効幅を考慮したT形梁として計算する。

この記述は適切です。

梁とスラブを一体に施工すると、梁だけでなく、その両側にあるスラブの一部も梁と一緒に曲げに抵抗します。

そのため、梁の剛性を求めるときは、スラブのうち有効に働く幅を含めたT形断面として計算するのが一般的です。

選択肢3. 梁端部の主筋に生じる引張力に対し、梁から梁主筋が引き抜けないことの確認を定着の検定、柱から梁主筋が引き抜けないことの確認を付着の検定という。

この記述は不適当です。

正しくは、

梁の中で梁主筋がすべって引き抜けないことの確認=付着の検定

柱などの接合部から梁主筋の端部が引き抜けないことの確認=定着の検定

です。

「付着」は、鉄筋とその周囲のコンクリートが力を伝え合う働きです。

「定着」は、鉄筋の端部を柱などの他の部分に十分に埋め込み、鉄筋が抜け出さないようにすることです。

したがって、この記述は付着と定着の説明を逆にしています

選択肢4. 梁のせいは、建築物に変形又は振動による使用上の支障が起こらないことを計算によって確かめた場合を除き、梁の有効長さの 1/10 を超える値とする。

この記述は適切です。

梁せいが小さすぎると、荷重を受けたときに梁が大きくたわんだり、床に振動が生じたりしやすくなります。

そのため、一般的な鉄筋コンクリート造の梁では、使用上の問題がないことを別に計算で確認した場合を除き、梁せいを梁の有効長さの1/10を超える値とします。

選択肢5. 部材の曲げモーメントに対する断面算定においては、一般に、コンクリートの引張応力度を無視する。

この記述は適切です。

コンクリートは圧縮には強いですが、引張には弱く、ひび割れが生じやすい材料です。

そのため、鉄筋コンクリート部材の曲げに対する一般的な断面算定では、引張側のコンクリートには力を負担させないものとして考えます。

引張力は主に鉄筋が負担するものとして計算します。

まとめ

この問題では、鉄筋コンクリート構造の基本的な性質と、「付着」と「定着」の違いを理解することが重要です。

特に、

付着=鉄筋と周囲のコンクリートとの間で力を伝え、梁の中で鉄筋がすべらないようにすること

定着=鉄筋の端部を柱などに十分に埋め込み、接合部から抜け出さないようにすること

と整理すると分かりやすくなります。

したがって、梁からの引抜きを「定着」、柱からの引抜きを「付着」としている記述が最も不適当です。

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