二級建築士 過去問
平成30年(2018年)
問73 (学科3(建築構造) 問23)

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問題

二級建築士試験 平成30年(2018年) 問73(学科3(建築構造) 問23) (訂正依頼・報告はこちら)

建築物の構造材として用いられる鋼材に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
※工業標準化法が改正されたことにより、令和元年(2019年)7月1日より、「日本工業規格(JIS)」は「日本産業規格(JIS)」に変わりました。
<参考>
 それに伴い、当設問の選択肢中の文言を変更しました。
  • 日本産業規格(JIS)において、「建築構造用圧延鋼材SN490」と「溶接構造用圧延鋼材SM490」のそれぞれの降伏点の下限値から上限値までの範囲は、同じである。
  • 鋼材の許容疲労強さは、鋼材の強度によらず、継手等の形式に応じた基準疲労強さを用いて算定する。
  • ステンレス鋼(SUS304A材等)は、一般構造用圧延鋼材(SS400材等)の炭素鋼に比べて、耐食性、耐火性に優れている。
  • 一般の鋼材の引張強さは、温度が200~300℃程度で最大となり、それ以上の温度になると急激に低下する。
  • 鋼材は、炭素含有量が多くなると、一般に、溶接性が低下する。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は1です。

1、日本産業規格(JIS)において、「建築構造用圧延鋼材SN490」と「溶接構造用圧延鋼材SM490」のそれぞれの降伏点の下限値から上限値までの範囲は異なります。

SN400、490材には下限値及び上限値が定められていますが、SM490材は下限値のみが定められています。

したがって誤りの記述となります。

2、 鋼材の許容疲労強さは、鋼材の強度によらず継手等の形式に応じた基準疲労強さを用いて算定します。

したがって正しい記述となります。

3、ステンレス鋼(SUS304A材等)は、一般構造用圧延鋼材(SS400材等)の炭素鋼に比べて耐食性、耐火性に優れています。

したがって正しい記述となります。

4、一般の鋼材の引張強さは、温度が200~300℃程度で最大となりそれ以上の温度になると急激に低下します。

したがって正しい記述となります。

ヤング係数や降伏点は温度上昇に伴って減少します。合わせて覚えておきましょう。

5、鋼材は、炭素含有量が多くなると、硬度は増加しますが粘り強さが下がり溶接性が低下します。

したがって正しい記述となります。

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02

1. 記述は誤りです
 SS材やSM材は、降伏点の下限値のみが規定されています。
SN材は、降伏点の上限値・下限値が設定されています。

2. 記述は正しいです
 鋼材の疲労強度は、継手の形式によって規定されている基準疲労強さを用いることになっています。

3. 記述は正しいです
 ステンレス鋼は、耐食性や耐火性、耐候性がよいので、外部の金属部分やキッチンなど水掛り部分の建築材料に用いられます。

4. 記述は正しいです
 一般鋼材では、高温になると急激に応力低下を起こすのが欠点なので、耐火被覆をしなければなりません。

5. 記述は正しいです
 炭素の含有量によって、靭性と脆性の特性が異なります。
炭素含有量が比較的多い鋳鉄は、脆性の特性が強く、マンホールなどに用いられます。

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03

最も不適当なのは、「日本産業規格(JIS)において、『建築構造用圧延鋼材SN490』と『溶接構造用圧延鋼材SM490』のそれぞれの降伏点の下限値から上限値までの範囲は、同じである。」です。

SN490は、建築物の耐震性などを考えて、一定の板厚範囲では降伏点に下限値だけでなく上限値も定められています。一方、SM490の降伏点は基本的に下限値が定められており、SN490のような上限値の規定はありません

したがって、両者の降伏点の範囲が同じという説明は適切ではありません。SN490Bでは、例えば一定の板厚範囲で325N/mm²以上445N/mm²以下という規定があります。

選択肢1. 日本産業規格(JIS)において、「建築構造用圧延鋼材SN490」と「溶接構造用圧延鋼材SM490」のそれぞれの降伏点の下限値から上限値までの範囲は、同じである。

この記述が最も不適当です。

SN490は、建築構造に使うことを目的とした鋼材で、地震時に粘り強く変形できるようにするため、降伏点の上限や降伏比などについても規定されています。

例えばSN490Bでは、一定の板厚範囲で降伏点が325N/mm²以上445N/mm²以下とされています。

これに対してSM490は、溶接構造用の鋼材で、降伏点については板厚に応じた下限値が規定されていますが、同じような上限値は定められていません

そのため、SN490とSM490の降伏点の範囲が同じとはいえません。

選択肢2. 鋼材の許容疲労強さは、鋼材の強度によらず、継手等の形式に応じた基準疲労強さを用いて算定する。

この記述は適当です。

鋼材に何度も繰り返し荷重が加わると、通常の強度より低い応力でも、やがて亀裂が生じて破断することがあります。これを疲労破壊といいます。

疲労強さは、鋼材そのものの引張強さだけで決まるものではありません。

特に溶接部などでは、継手の形や溶接方法、応力が集中しやすい部分の形状などが大きく影響します。

そのため、許容疲労強さは、一般に継手などの形式ごとに決められた基準疲労強さを用いて求めます。

選択肢3. ステンレス鋼(SUS304A材等)は、一般構造用圧延鋼材(SS400材等)の炭素鋼に比べて、耐食性、耐火性に優れている。

この記述は適当です。

ステンレス鋼にはクロムなどが含まれており、表面に不動態皮膜という薄い保護膜ができます。

この膜によって腐食が進みにくいため、一般の炭素鋼より耐食性に優れています

また、SUS304などのオーステナイト系ステンレス鋼は、高温でも強度が低下しにくい性質があります。

日本ステンレス協会の資料でも、SUS304は一般的な炭素鋼より高い温度まで一定の引張強さを保つことが示されています。

選択肢4. 一般の鋼材の引張強さは、温度が200~300℃程度で最大となり、それ以上の温度になると急激に低下する。

この記述は適当です。

一般の炭素鋼は、温度が上昇するとすぐに引張強さが下がるわけではありません。

引張強さは、一般に200~300℃程度で最大となり、その後は温度が高くなるにつれて低下していきます。

高温になると鋼材の強度が大きく低下するため、鉄骨造では火災時の耐火対策が重要です。

選択肢5. 鋼材は、炭素含有量が多くなると、一般に、溶接性が低下する。

この記述は適当です。

鋼材に含まれる炭素が多くなると、一般に鋼材は硬く、強くなる一方で、溶接した部分が硬くなりやすくなります。

その結果、溶接部に割れが生じる危険が高くなり、溶接性が低下します

そのため、鋼材の溶接性を判断する際には、炭素量などを考慮した「炭素当量」や「溶接割れ感受性組成」が用いられます。

まとめ

この問題では、SN490とSM490の降伏点に関する規定の違いがポイントです。

SN490は建築構造用の鋼材で、地震時に必要な粘り強さを確保しやすくするため、一定の板厚範囲では、

降伏点の下限値だけでなく上限値も規定

されています。

一方、SM490には、SN490と同じような降伏点の上限値はありません。

したがって、「SN490とSM490の降伏点の下限値から上限値までの範囲は同じ」とした記述が最も不適当です。

あわせて、疲労強さは継手形式の影響を強く受ける、ステンレス鋼は耐食性・耐火性に優れる、一般の鋼材の引張強さは200~300℃程度で最大となる、炭素量が多いほど溶接性は低下しやすいという点も整理しておくとよいです。

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