二級建築士 過去問
平成30年(2018年)
問64 (学科3(建築構造) 問14)
問題文
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問題
二級建築士試験 平成30年(2018年) 問64(学科3(建築構造) 問14) (訂正依頼・報告はこちら)
- 梁の圧縮鉄筋は、長期荷重によるクリープたわみの抑制や地震時における靱性の確保に有効である。
- 四周を梁で支持されている床スラブの厚さが、短辺方向における有効張り間長さの1/30以下の場合、建築物の使用上の支障が起こらないことについて確かめる必要がある。
- 普通コンクリートを用いた柱の小径は、一般に、その構造耐力上主要な支点間の距離の1/15以上とする。
- 袖壁付きの柱のせん断補強筋比は、原則として、0.3%以上とする。
- 帯筋・あばら筋は、一般に、せん断ひび割れの発生を抑制することを主な目的として設ける。
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この過去問の解説 (3件)
01
梁に圧縮が生じる鉄筋では、つっかえ棒の状態で長期たわみに抵抗しているので、構造としては効果があります。
2. 記述は正しいです
平12告1459号に関連します。
スラブ厚が、短辺方向の有効はり間長さの1/30以下の場合は、使用上支障が起こらないことを確かめることになっています。
3. 記述は正しいです
柱の最小径は、普通コンクリートで主要スパンの1/15以上とし、軽量コンクリートで主要スパンの1/10以上とします。
4. 記述は正しいです
一般の帯筋比は0.2%以上としますが、袖壁が付く場合は柱の剛性が上がり、せん断に影響するため帯筋比を0.3%以上として計算します。
5. 記述は誤りです
帯筋やあばら筋は、構造体に生じるせん断力を負担するために設けるものであり、せん断ひび割れを抑制するためのものではありません。
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02
1、梁の圧縮鉄筋は、長期荷重によるクリープたわみの抑制や地震時における靱性の確保に有効です。
鉄筋はクリープ変形するコンクリートと違って変形しないため、クリープたわみの抑制や地震時における靱性の確保に有効となります。
したがって正しい記述となります。
2、 四周を梁で支持されている床スラブの厚さが、短辺方向における有効張り間長さの1/30以下の場合、建築物の使用上の支障が起こらないことについて確かめる必要があります。
原則では1/40以上確保できれば確認の必要も無くなります。
したがって正しい記述となります。
3、普通コンクリートを用いた柱の小径はその構造耐力上主要な支点間距離の1/15以上とします。
軽量コンクリートを使用した場合は1/10以上となります。
したがって正しい記述となります。
4、袖壁付きの柱のせん断補強筋比の規定は0.3%以上です。
したがって正しい記述となります。
5、帯筋・あばら筋は、せん断ひび割れの発生を抑制することが目的ではなく、ひび割れの伸展を防止することが主な目的として設けます。
したがって誤りの記述となります。
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03
最も不適当なのは、「帯筋・あばら筋は、一般に、せん断ひび割れの発生を抑制することを主な目的として設ける。」です。
帯筋やあばら筋は「せん断補強筋」と呼ばれ、主な役割は、せん断ひび割れが生じた後に、そのひび割れが広がったり伸びたりするのを抑え、せん断力を負担することです。
「せん断ひび割れそのものの発生を抑えること」が主な目的ではありません。日本コンクリート工学会も、せん断力はコンクリートとせん断補強筋が負担し、梁ではあばら筋、柱では帯筋などを用いると説明しています。
この記述は適当です。
梁に長期間荷重がかかると、コンクリートには「クリープ」という時間とともに変形が進む現象が起こり、たわみが大きくなることがあります。
圧縮側にも鉄筋を配置すると、長期的なたわみを抑える効果があります。
また、圧縮鉄筋を設けることで梁の変形能力が高まり、急に壊れにくくなるため、地震時の靱性を高めるうえでも有効です。日本コンクリート工学会も、圧縮鉄筋の量が多いほどコンクリートの負担が軽くなり、靱性が向上すると説明しています。
この記述は適当です。
床スラブが薄すぎると、人が歩いたときの振動や、大きなたわみなどが生じ、建物を使ううえで支障が出ることがあります。
鉄筋コンクリート造の片持ちでない床スラブについては、
スラブ厚さ/短辺方向の有効張り間長さ>1/30
であれば、原則として使用上の支障についての特別な検討を省略できます。
反対に、1/30以下の場合には、たわみや振動などによる使用上の支障が生じないことを確認する必要があります。
この記述は適当です。
柱が細すぎたり長すぎたりすると、圧縮力を受けたときに横へ曲がる座屈が起こりやすくなります。
そのため、普通コンクリートを使う鉄筋コンクリート柱では、原則として、
柱の小径≧構造耐力上主要な支点間距離×1/15
とします。
なお、所定の構造計算によって安全性を確認した場合には、この寸法条件によらないこともできます。
この記述は適当です。
袖壁付き柱は、柱だけの場合とは力の受け方が異なり、地震時などに大きなせん断力が生じることがあります。
そのため、せん断破壊を防ぎ、十分な変形能力を確保するために、せん断補強筋比は原則として0.3%以上とします。
建築研究所の袖壁付き柱に関する技術資料でも、袖壁付き柱について帯筋比などのせん断補強が重要な設計項目として扱われています。
この記述が最も不適当です。
梁や柱に大きなせん断力が作用すると、コンクリートに斜め方向のせん断ひび割れが生じます。
帯筋やあばら筋は、そのようなひび割れを横切るように配置され、ひび割れが生じた後に力を受け持ち、ひび割れの進行や広がりを抑える働きをします。
つまり、主な目的は、
せん断ひび割れの発生そのものを防ぐこと
ではなく、
せん断力を負担し、ひび割れの進展を抑えて急激なせん断破壊を防ぐこと
です。日本コンクリート工学会でも、せん断力をコンクリートとせん断補強筋が共同で負担すると説明されています。
この問題では、帯筋・あばら筋の役割を正しく理解することがポイントです。
帯筋・あばら筋はせん断補強筋であり、
せん断ひび割れが生じた後にせん断力を負担する
ひび割れが広がったり伸びたりするのを抑える
急激なせん断破壊を防ぎ、部材の靱性を高める
という役割があります。
したがって、「せん断ひび割れの発生を抑制することを主な目的として設ける」とした記述が最も不適当です。
また、あわせて、四周支持スラブの1/30、普通コンクリート柱の1/15、袖壁付き柱のせん断補強筋比0.3%以上という基準も整理しておくとよいです。
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