二級建築士 過去問
令和2年(2020年)
問68 (学科3(建築構造) 問18)

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問題

二級建築士試験 令和2年(2020年) 問68(学科3(建築構造) 問18) (訂正依頼・報告はこちら)

建築物の固有周期に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 建築物は、水平剛性が同じであれば、質量が小さいほど固有周期が長くなる。
  • 形状及び高さが同じであれば、一般に、鉄筋コンクリート造建築物に比べて鉄骨造建築物のほうが固有周期が長くなる。
  • 鉄筋コンクリート造建築物では、一般に、躯体にひび割れが発生するほど固有周期が長くなる。
  • 鉄筋コンクリート造建築物において、柱と腰壁の間に耐震スリットを設けると、設けない場合に比べて固有周期が長くなる。
  • 免震構造を採用した建築物は、一般に、免震構造を採用しない場合と比べて固有周期が長くなる。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は1です。

各選択肢の解説は以下のとおりです。

1→固有周期Tは次の公式で求めます。

T=2π√m/k(m:質量、k:水平剛性)

よって、質量mが小さいほど、固有周期Tは小さくなるため、設問の内容は誤りです。

2→設問の通り正しいです。

一次固有周期の推定方法として次の公式があります。

T=h(0.02+0.01α) 

(h:当該建築物の高さ、α:木造又は鉄骨造の階の合計高さのhに対する比)

鉄筋コンクリート造の場合α=0、鉄骨造の場合α=1となります。

3→設問の通り正しいです。

4→設問の通り正しいです。

スリットを設けることにより、柱と腰壁の一体性を分断し、水平剛性を低減させることができます。

5→設問の通り正しいです。

免震構造を設けることにより建築物の上部の構造に伝わる地震力の固有周期が長くなり、応力加速度が低減されます。

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02

正解は1です。
最も不適当なものを選びます。

1.記述は誤りです。
 建築物は、水平剛性が同じであれば、質量が小さいほど固有周期が短くなります。

2.記述は正しいです。
 設計用一次固有周期T(秒)
 T = h(0.02 + 0.01a)
h : 建築物の高さ(m)
a : 柱及び梁の大部分が木造または鉄骨造である階の合計の高さのhに対する比
  鋼構造(鉄骨構造) a = 1となるからT = 0.03h
  鉄筋コンクリート構造 a = 0となるからT = 0.02h
 
 形状が同じ場合、建物高さhが等しければ、一般に、建築物の設計用一次固有周期Tは、
 鉄筋コンクリート造より鋼構造の方が長くなります。


3.記述は正しいです。
 鉄筋コンクリート造の場合、躯体にひび割れが発生すると、剛性が低下するため、固有周期が長くなります。

4.記述は正しいです。
 鉄筋コンクリート造建築物において、柱と腰壁の間に耐震スリットを設けると、設けない場合に比べて固有周期は長くなります。

5.記述は正しいです。
 免震構造を採用した建築物は、一般に、免震構造を採用しない場合と比べて固有周期が長くなります。

固有周期が長くなることで、建築物に作用する加速度が小さくなり、建築物に作用する地震力を低減し、耐震性の向上を図ることが可能です。

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03

最も不適当なのは、「建築物は、水平剛性が同じであれば、質量が小さいほど固有周期が長くなる。」という記述です。

建築物の固有周期は、建物が揺れ始めてから元の位置に戻るまでの時間を表すものです。

基本的には、

質量が大きいほど固有周期は長くなり、剛性が大きいほど固有周期は短くなります。

したがって、水平剛性が同じなら、質量が小さいほど固有周期は短くなります。

選択肢1. 建築物は、水平剛性が同じであれば、質量が小さいほど固有周期が長くなる。

この記述が不適当です。

固有周期Tは、簡単に表すと、

T=2π√(m/k)

で求められます。

mは質量、kは剛性です。

水平剛性kが同じ場合、質量mが大きくなるほど固有周期は長くなり、質量が小さくなるほど固有周期は短くなります。

したがって、「質量が小さいほど固有周期が長くなる」としている点が逆です。

選択肢2. 形状及び高さが同じであれば、一般に、鉄筋コンクリート造建築物に比べて鉄骨造建築物のほうが固有周期が長くなる。

この記述は適当です。

一般に、鉄筋コンクリート造は鉄骨造に比べて剛性が高く、変形しにくい構造です。

これに対して鉄骨造は、比較的しなやかに変形します。

固有周期は、建築物の剛性が小さいほど長くなるため、形状や高さが同じなら、一般に鉄骨造のほうが固有周期は長くなります。

選択肢3. 鉄筋コンクリート造建築物では、一般に、躯体にひび割れが発生するほど固有周期が長くなる。

この記述は適当です。

鉄筋コンクリート造にひび割れが発生すると、建築物全体の剛性が低下します。

剛性が低下すると建築物は変形しやすくなるため、固有周期は長くなります。

つまり、ひび割れが発生する前より、発生した後のほうがゆっくり揺れるようになります。

選択肢4. 鉄筋コンクリート造建築物において、柱と腰壁の間に耐震スリットを設けると、設けない場合に比べて固有周期が長くなる。

この記述は適当です。

耐震スリットは、柱と腰壁などを構造的に切り離すために設けます。

スリットを設けない場合は、腰壁も柱の変形を抑えるため、建築物の剛性が高くなります。

耐震スリットを設けると、腰壁による拘束が小さくなり、建築物全体の水平剛性が低下します。

剛性が低くなるほど固有周期は長くなるため、この記述は適当です。

選択肢5. 免震構造を採用した建築物は、一般に、免震構造を採用しない場合と比べて固有周期が長くなる。

この記述は適当です。

免震構造では、建築物と地盤の間に免震装置を設け、建物がゆっくり大きく動けるようにします。

これによって建築物全体の揺れの周期を意図的に長くし、地震による強い揺れが建物へ伝わりにくくします。

そのため、免震構造を採用すると、一般に固有周期は長くなります。

まとめ

建築物の固有周期は、主に質量と剛性によって決まります。

基本となる関係は、

T=2π√(m/k)

です。

この式から、

質量が大きいほど固有周期は長くなる

剛性が大きいほど固有周期は短くなる

という関係が分かります。

また、鉄骨造のように比較的変形しやすい建物、ひび割れによって剛性が低下した建物、耐震スリットを設けた建物、免震構造の建物では、一般に固有周期が長くなります。

したがって、水平剛性が同じ場合に「質量が小さいほど固有周期が長くなる」とする記述が最も不適当です。

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