二級建築士 過去問
平成30年(2018年)
問68 (学科3(建築構造) 問18)

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問題

二級建築士試験 平成30年(2018年) 問68(学科3(建築構造) 問18) (訂正依頼・報告はこちら)

建築物の耐震設計、構造計画等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 耐震設計の一次設計では、まれに発生する地震(中程度の地震)に対して建築物の損傷による性能の低下を生じないことを確かめる。
  • 鉄筋コンクリート造の建築物は、一般に、鉄骨造や木造の建築物より単位床面積当たりの重量が大きいので、構造設計においては地震力よりも風圧力に対する検討が重要となる。
  • エキスパンションジョイントのみで接している複数の建築物については、それぞれ別の建築物として構造計算を行う。
  • 建築物は、一般に、屋根や床の面内剛性を高くし、地震力や風圧力などの水平力に対して建築物の各部が一体となって抵抗できるように計画する。
  • 地震時に建築物のねじれが生じないようにするため、建築物の重心と剛心との距離ができるだけ小さくなるように計画する。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は2です。


1、耐震設計の一次設計では、まれに発生する地震(中程度の地震)に対して建築物の損傷による性能の低下を生じないことを確かめます。
したがって正しい記述となります。
また二次設計では、極めてまれに発生する地震(大地震)に対して建築物の損傷はやむを得ないとしますが、倒壊し人命にかかわることのないように設計します。

2、 鉄筋コンクリート造の建築物は、鉄骨造や木造の建築物より単位床面積当たりの重量が大きいので、構造設計においては風圧力よりも地震力に対する検討が重要となります。
重量が大きければ風圧力には耐えられる反面、地震力に対しての影響が大きくなるためです。
したがって誤りの記述となります。

3、エキスパンションジョイントのみで接している複数の建築物についてはそれぞれ別の建築物として構造計算を行います。
したがって正しい記述となります。

4、建築物は、屋根や床の面内剛性を高くし地震力や風圧力などの水平力に対して建築物の各部が一体となって抵抗できるように計画します。
したがって正しい記述となります。

5、地震時に建築物のねじれが生じないようにするため、建築物の重心と剛心との距離ができるだけ小さくなるように計画します。
重心と剛心との距離の関係を偏心率といいます。
したがって正しい記述となります。

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02

1. 記述は正しいです
 2次設計では、極めてまれに発生する地震(大地震時)に対して建築物の倒壊や崩壊しないことを確かめます。

2. 記述は誤りです
 重量建築物の場合は、固有周期に影響するので、構造設計においては地震力について検討することが最も重要になる。

3. 記述は正しいです
 複雑な形状の建築物になると、構造的弱点をなくすためにエキスパンションジョイントなどで構造分離をして解消します。

4. 記述は正しいです
 水平構面の剛性を高くすることは、水平外力に対してねじれなどを生じさせないように働くため、効果的に抵抗します。

5. 記述は正しいです
 重心と剛心が離れていると、建築物の弱点となる部分の損傷が激しくなるので、なるべく避けて計画します。

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03

最も不適当なのは、「鉄筋コンクリート造の建築物は、一般に、鉄骨造や木造の建築物より単位床面積当たりの重量が大きいので、構造設計においては地震力よりも風圧力に対する検討が重要となる。」です。

地震時に建築物へ作用する水平力は、基本的に建築物の重量が大きいほど大きくなります。そのため、重量の大きい鉄筋コンクリート造では、むしろ地震力の影響が大きくなりやすく、風圧力の検討のほうが重要になるとはいえません。

建築基準法の地震力の計算でも、各階の地震力は、その階が支える重量をもとに求める仕組みになっています。

選択肢1. 耐震設計の一次設計では、まれに発生する地震(中程度の地震)に対して建築物の損傷による性能の低下を生じないことを確かめる。

この記述は適当です。

耐震設計の一次設計では、建築物が使用されている間に数回程度起こる可能性のある中程度の地震を想定します。

このような地震に対して、柱や梁などに生じる応力が許容範囲内に収まり、建築物にほとんど損傷が生じないことを確認します。

一方、より大きな地震に対して倒壊・崩壊しないことを確認するのが二次設計の考え方です。国土交通省も、一次設計について「中規模の地震動でほとんど損傷しないこと」を確認するものと説明しています。

選択肢2. 鉄筋コンクリート造の建築物は、一般に、鉄骨造や木造の建築物より単位床面積当たりの重量が大きいので、構造設計においては地震力よりも風圧力に対する検討が重要となる。

この記述が最も不適当です。

鉄筋コンクリート造は、鉄骨造や木造と比べて、一般に建築物の重量が大きくなります。

しかし、そこから「風圧力の検討のほうが重要になる」と考えるのは逆です。

地震による力は、建築物の重量に関係しており、重量が大きい建築物ほど地震時に大きな慣性力を受けます

つまり、鉄筋コンクリート造では、

重量が大きい

地震力も大きくなりやすい

という関係になります。

したがって、重量が大きいことを理由に「地震力より風圧力の検討が重要」とする説明は適切ではありません。

選択肢3. エキスパンションジョイントのみで接している複数の建築物については、それぞれ別の建築物として構造計算を行う。

この記述は適当です。

エキスパンションジョイントは、建築物どうしを構造的に分離し、一方の建築物に生じた力を他方へ伝えないようにするためのものです。

そのため、エキスパンションジョイントによって構造上分離されている部分は、それぞれ別々に構造計算します。

国土交通省の資料でも、エキスパンションジョイントなど、相互に応力を伝えない構造方法で接続された部分については、別々の構造計算を行うことが示されています。

選択肢4. 建築物は、一般に、屋根や床の面内剛性を高くし、地震力や風圧力などの水平力に対して建築物の各部が一体となって抵抗できるように計画する。

この記述は適当です。

地震や強風を受けると、建築物には水平方向の力が作用します。

この力を柱や耐力壁などへ適切に伝えるためには、屋根や床が水平方向に大きく変形しないことが重要です。

屋根や床の面内剛性を高くすると、水平力を各柱や耐力壁などへ分配しやすくなり、建築物全体で一体となって抵抗できる構造になります。

反対に、床や屋根が水平方向に柔らかすぎると、一部の柱や壁に力が集中しやすくなります。

選択肢5. 地震時に建築物のねじれが生じないようにするため、建築物の重心と剛心との距離ができるだけ小さくなるように計画する。

この記述は適当です。

重心は、建築物の重量が集中していると考える位置です。

剛心は、柱や耐力壁などの水平方向の硬さの中心です。

この2つの位置が大きくずれていると、地震力が作用したときに建築物が平行移動するだけでなく、回転するようにねじれやすくなります

そのため、重心と剛心をできるだけ近づけ、偏りの少ない構造計画とすることが重要です。

構造計算で使う偏心率も、重心と剛心の距離をもとに評価する仕組みになっています。

まとめ

この問題では、建築物の重量と地震力の関係が重要です。

鉄筋コンクリート造は、一般に鉄骨造や木造より重量が大きいため、

重量が大きいほど地震時の力も大きくなりやすい

と考えます。

したがって、

「鉄筋コンクリート造は重いので、地震力より風圧力の検討が重要になる」

という記述が最も不適当です。

あわせて、

一次設計→中程度の地震でほとんど損傷しないことを確認する

エキスパンションジョイントで構造的に分離→それぞれ別に構造計算する

屋根・床の面内剛性を高める→水平力を建物全体で負担しやすくする

重心と剛心を近づける→地震時のねじれを抑える

という点も整理しておくとよいです。

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