二級建築士 過去問
令和5年(2023年)
問67 (学科3(建築構造) 問17)

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問題

二級建築士試験 令和5年(2023年) 問67(学科3(建築構造) 問17) (訂正依頼・報告はこちら)

鉄骨構造の接合に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 片面溶接による部分溶込み溶接は、荷重の偏心によって生じる付加曲げによる引張応力がルート部に作用する箇所には使用しない。
  • 一般に、接合しようとする母材の間の角度が60度未満又は120度を超える場合の隅肉溶接には、応力を負担させない。
  • 高力ボルト摩擦接合部の許容応力度は、締め付けられる鋼材間の摩擦力と高力ボルトのせん断力との和として応力が伝達されるものとして計算する。
  • 構造用鋼材の高力ボルト摩擦接合部の表面処理方法として、浮き錆(さび)を取り除いた赤錆面とした場合、接合面のすべり係数の値は0.45とする。
  • 高力ボルト摩擦接合において、両面とも摩擦面としての処理を行ったフィラープレートは、接合する母材の鋼種にかかわらず、400N mm2級の鋼材でよい。

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この過去問の解説 (3件)

01

最も不適当なものは、

高力ボルト摩擦接合部の許容応力度は、締め付けられる鋼材間の摩擦力と高力ボルトのせん断力との和として応力が伝達されるものとして計算する

です。

 

高力ボルト摩擦接合部の許容応力度は、締め付けられる鋼材間の摩擦力のみによって力を伝達されるものとして計算します。

選択肢はせん断力との和としての応力とされているため、不適当となります。

選択肢1. 片面溶接による部分溶込み溶接は、荷重の偏心によって生じる付加曲げによる引張応力がルート部に作用する箇所には使用しない。

この選択肢は正しいです。

片面溶接による部分溶込み溶接は、荷重の偏心によって生じる付加曲げによる引張応力がルート部に作用する箇所には使用しません。

選択肢2. 一般に、接合しようとする母材の間の角度が60度未満又は120度を超える場合の隅肉溶接には、応力を負担させない。

この選択肢は正しいです。

一般に、接合しようとする母材の間の角度が60度未満又は120度を超える場合の隅肉溶接には、応力を負担させません。

選択肢3. 高力ボルト摩擦接合部の許容応力度は、締め付けられる鋼材間の摩擦力と高力ボルトのせん断力との和として応力が伝達されるものとして計算する。

この選択肢は不適当です。

高力ボルト摩擦接合部の許容応力度は、締め付けられる鋼材間の摩擦力のみによって力を伝達されるものとして計算します。

選択肢4. 構造用鋼材の高力ボルト摩擦接合部の表面処理方法として、浮き錆(さび)を取り除いた赤錆面とした場合、接合面のすべり係数の値は0.45とする。

この選択肢は正しいです。

構造用鋼材の高力ボルト摩擦接合部の表面処理方法として、浮き錆(さび)を取り除いた赤錆面とした場合、接合面のすべり係数の値は0.45とします。

選択肢5. 高力ボルト摩擦接合において、両面とも摩擦面としての処理を行ったフィラープレートは、接合する母材の鋼種にかかわらず、400N mm2級の鋼材でよい。

この選択肢は正しいです。

高力ボルト摩擦接合において、両面とも摩擦面としての処理を行ったフィラープレートは、接合する母材の鋼種にかかわらず、400N mm2級の鋼材で問題ありません。

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02

高力ボルト摩擦接合部の許容応力度は、締め付けられる鋼材間の摩擦力によって力を伝達するものとして計算します。

高力ボルトのせん断力との和というところが誤りです。

選択肢1. 片面溶接による部分溶込み溶接は、荷重の偏心によって生じる付加曲げによる引張応力がルート部に作用する箇所には使用しない。

この選択肢は正しいです。

片面溶接による部分溶込み溶接は、荷重の偏心によって生じる付加曲げによる引張応力がルート部に作用する箇所には使用することはできません

 

上記の場合は、完全溶け込み溶接とします。

選択肢2. 一般に、接合しようとする母材の間の角度が60度未満又は120度を超える場合の隅肉溶接には、応力を負担させない。

この選択肢は正しいです。

隅肉溶接は、接合しようとする母材の間の角度が60度~120度の範囲とします。

逸脱するの場合(設問の場合)は、応力を負担させることはできません

選択肢3. 高力ボルト摩擦接合部の許容応力度は、締め付けられる鋼材間の摩擦力と高力ボルトのせん断力との和として応力が伝達されるものとして計算する。

この選択肢は不適当です。

高力ボルト摩擦接合部の許容応力度は、締め付けられる鋼材間の摩擦力によって力を伝達するものとして計算します。

高力ボルトのせん断力との和というところが誤りです。

選択肢4. 構造用鋼材の高力ボルト摩擦接合部の表面処理方法として、浮き錆(さび)を取り除いた赤錆面とした場合、接合面のすべり係数の値は0.45とする。

この選択肢は正しいです。

構造用鋼材の高力ボルト摩擦接合部の表面処理方法として、浮き錆(さび)を取り除いた赤錆面とした場合、接合面のすべり係数の値は0.45とします。

 

錆の状態と数値を覚えましょう。

選択肢5. 高力ボルト摩擦接合において、両面とも摩擦面としての処理を行ったフィラープレートは、接合する母材の鋼種にかかわらず、400N mm2級の鋼材でよい。

この選択肢は正しいです。

両面とも摩擦面としての処理を行ったフィラープレートは、接合する母材の鋼種にかかわらず、400N mm2級の鋼材でよいものとします。

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03

最も不適当なのは、「高力ボルト摩擦接合部の許容応力度は、締め付けられる鋼材間の摩擦力と高力ボルトのせん断力との和として応力が伝達されるものとして計算する。」という記述です。

高力ボルト摩擦接合は、高力ボルトを強く締め付けることで接合面を押し付け、そこで生じる摩擦力によって力を伝える接合方法です。

通常の高力ボルト摩擦接合では、ボルト軸のせん断力を摩擦力に足して耐力を求めるものではありません。高力ボルト協会も、摩擦接合では摩擦によって応力を伝え、ボルト軸のせん断抵抗なども利用するものは別の「支圧接合」であると説明しています。

選択肢1. 片面溶接による部分溶込み溶接は、荷重の偏心によって生じる付加曲げによる引張応力がルート部に作用する箇所には使用しない。

この記述は適当です。

部分溶込み溶接は、母材の厚さ全体を完全に溶かして一体化するのではなく、溶込みが途中までの溶接です。

そのため、溶接の奥にあるルート部には溶け込んでいない部分が残ります。

このルート部に引張応力が作用すると、そこから割れなどが生じるおそれがあります。そのため、偏心による曲げによってルート部に引張応力が生じるような場所には使用しません。

日本溶接協会も、部分溶込み溶接は、溶接線に直角方向の引張力や、溶接線を軸とする曲げが作用する場合には使用できないと説明しています。

選択肢2. 一般に、接合しようとする母材の間の角度が60度未満又は120度を超える場合の隅肉溶接には、応力を負担させない。

この記述は適当です。

隅肉溶接は、2つの母材がつくる角の部分を溶接する方法です。

母材どうしの角度が小さすぎたり大きすぎたりすると、適切なのど厚や溶接形状を確保しにくくなります。

そのため、一般に母材間の角度が60度より小さい場合や120度より大きい場合には、その隅肉溶接に構造上の応力を負担させません。

鋼構造設計規準でも、このような角度範囲を外れる隅肉溶接には応力を負担させない考え方が示されています。

選択肢3. 高力ボルト摩擦接合部の許容応力度は、締め付けられる鋼材間の摩擦力と高力ボルトのせん断力との和として応力が伝達されるものとして計算する。

この記述が最も不適当です。

高力ボルト摩擦接合では、ボルトを強く締め付けて鋼材どうしを密着させます。

外力が加わると、まず接合面の摩擦力によって力を伝えます。

通常の設計では、この摩擦力と高力ボルト軸のせん断力を足し合わせて許容耐力を求めるわけではありません。

高力ボルトが直接せん断力を負担する考え方は、摩擦接合とは別の支圧接合に関係するものです。

したがって、「摩擦力と高力ボルトのせん断力との和として計算する」という部分が不適当です。

選択肢4. 構造用鋼材の高力ボルト摩擦接合部の表面処理方法として、浮き錆(さび)を取り除いた赤錆面とした場合、接合面のすべり係数の値は0.45とする。

この記述は適当です。

高力ボルト摩擦接合では、接合面が滑りにくいことが重要です。

その滑りにくさを表す値をすべり係数といいます。

黒皮などを取り除き、適切な赤錆面として摩擦面を処理した場合は、一般にすべり係数0.45を確保するものとして設計します。

浮いている錆や汚れは摩擦面の性能を悪くするため、取り除いておく必要があります。

選択肢5. 高力ボルト摩擦接合において、両面とも摩擦面としての処理を行ったフィラープレートは、接合する母材の鋼種にかかわらず、400N mm2級の鋼材でよい。

この記述は適当です。

フィラープレートは、接合する鋼材に厚さの違いなどがある場合に、そのすき間を埋めるために挟む鋼板です。

高力ボルト摩擦接合では、フィラープレートの両面を母材と同じように適切な摩擦面として処理すれば、その面の摩擦によって力を伝えることができます。

そのため、接合する母材がより強度の高い鋼材であっても、フィラープレートまで同じ強度にする必要はなく、400N/mm²級の鋼材を使用できます。

まとめ

この問題では、鉄骨構造の溶接接合と高力ボルト接合について、どのように力を伝えるかを理解することがポイントです。

部分溶込み溶接では、ルート部に大きな引張応力が生じるような使い方を避けます。

隅肉溶接では、母材間の角度が適切でない場合、その溶接部に構造上の応力を負担させません。

赤錆面として適切に処理した高力ボルト摩擦接合面では、一般にすべり係数0.45を用います。

また、両面を適切な摩擦面としたフィラープレートには、母材の鋼種にかかわらず400N/mm²級の鋼材を使用できます。

特に重要なのは、高力ボルト摩擦接合では、接合面の摩擦力によって力を伝えるということです。摩擦力とボルト軸のせん断力を足し合わせて許容応力度を求めるものではありません。

したがって、最も不適当なのは、高力ボルト摩擦接合の応力伝達を「摩擦力と高力ボルトのせん断力との和」とした記述です。

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